知床羅臼について

海、山、そして野生動物、独特の生態系がもたらす自然の恩恵 ―世界自然遺産・知床―

知床半島は北海道東部のオホーツク海に長く突き出た半島です。知床という地名はアイヌ語の”シリエトク”(突き出た所)に由来します。半島の背には知床連山と呼ばれる山々が連なり、その山を背景に東側の羅臼町、西側の斜里町と2つの町が含まれています。
羅臼から望む根室海峡の向こう岸、最短距離で25kmの位置には、北方領土の国後島があります。全長123km、面積1490平方キロメートルの広大な国後島が見える風景は、国際社会を身近に感じさせてくれます。
根室海峡の羅臼沖は、急激に水深1kmほどまで深くなる地形の特徴から、湧昇流の恩恵を受けて、さまざまな種類の魚がやってきます。また、冬は流氷が知床半島のウトロ側で一部せき止められる一方、羅臼に来る流氷は止まることなく流れているため、厳冬期を含め一年中漁が可能です。流氷がもたらす栄養分のおかげで、水産資源の質にも恵まれています。
羅臼はオホーツク海に面し、流氷がやってくる世界最南端です。
この豊かな海洋生態系と、知床連山の原生林からなる陸の生態系は川でつながり、海と山の生きものが相互に密接な関係をつくっています。
また、オオワシやシマフクロウといった絶滅危惧種に指定された動物が生息していること、国立公園に指定された場所が多く、国の法的整備により環境を守れる体制が整っていることが評価され、2005年、知床は世界自然遺産に登録されました。 海洋を含むエリアの自然遺産登録は知床が日本で初めての場所です。

「食べる、学ぶ、楽しむ」海と共に生きる羅臼町の漁業

ここ羅臼町で、私たちは海とともに暮らしています。 知床連山の森林から流れる川と、オホーツク海からやってくる流氷がもたらす豊かな海では、夏はボタンエビやブドウエビ、秋はサケやホッケ、冬はウニやタラをはじめ、一年を通して50種類以上もの多種多様な魚が漁獲されます。
しかし、自然は私たちに豊かな恵みをもたらしてくれるだけではありません。時に厳しい姿を見せる自然と共存するために、私たちは力を合わせ、漁法や加工法、保存法など、さまざまな工夫をしながら暮らしてきたのです。
それが、羅臼町独特の魚の文化となり、現在まで息づいています。イカ釣り漁船の漁火や、宗八ガレイを軒先に干している様子。漁師たちが漁業や生活を織り成す様子は、刻々と変わる季節を告げる風景となっていきました。
こういった漁師の仕事の様子は、羅臼町の産業ガイドの案内で、見学・体験することができます。経験を積んだプロの技、豊富な水産資源をより美味しく食べるための技術を、ぜひご覧ください。

そして、羅臼自慢の海の幸を、思う存分味わっていってください。