知床羅臼海の幸

知床羅臼の海の幸おいしさのひみつ

羅臼町の海産物の美味しさの秘密の一つは雄大な自然環境。
シベリアの大河「アムール川」からたどりつく流氷が運んでくる大量の植物性プランクトン、知床の山々から流れる栄養豊富な雪解け水に含まれるミネラル、そして、それらを循環させる野生動物たちの自然の営みが奇跡を起こし、羅臼の海に恵みをもたらします。
オホーツク海は北半球における流氷の南限であり、その恵まれた地形により羅臼には流氷が止まることなく流れてくるため1月から3月の厳冬期も含め一年中漁を行うことが出来ます。
また、羅臼沖の根室海峡は、最深部で2,400メートルと、水深に大きな差がある事から多種多様の魚が集まります。
知床羅臼町で水揚げされる海産物は、根室海峡に注がれる知床の豊かな自然の恩恵を受け、一級品が揃います。
羅臼町で食べられる美味しい海の幸は厳しい自然と共存しながら暮らす中で知恵や工夫を凝らし、代々受け継がれてきた漁師さんたちの努力の賜物でもあります。

羅臼昆布(通年)

羅臼昆布は国産昆布の約90%が北海道産であるうちの1~2%というとても希少な昆布です。うまみ成分である「グルタミン酸」含有量が様々な食材の中でもトップクラスなので、どのような料理もおいしくしてくれる天然のうま味調味料です。
海から昆布を採取し、出荷までは約100日間、その行程はなんと23もあります。こんなに手間をかけて製品になる昆布は間違えなく日本中で羅臼昆布だけです。天気や湿気の変化に合わせながら「湿り」「庵蒸」などのうま味を引き出すための作業が繰り返されます。
味、香り、きれいに整えられた形、その全てから羅臼の昆布漁師は職人でもあると感じていただけます。


エゾバフンウニ(1月下旬~6月)

羅臼のウニ漁は全国で一番早く始まります。その為、羅臼では日本で一番初めに天然エゾバフンウニが食べられます。羅臼のウニは、最高級羅臼昆布を食べて育つため「日本一贅沢なウニ」として知られています。
また海のコンディションや流氷の影響で漁に出られない日も多い事から「幻のウニ」と呼ばれることもあります。「日本一贅沢な幻のウニ」の名にふさわしく、その味は格別。羅臼のウニを一度食べると他のウニが食べられなくなると言われるほどです。
極寒の海で雪の降る中行われる事もあるエゾバフンウニ漁。自然の恩恵と漁師さんの頑張りに感謝していただきたい海の恵みのひとつです。


イカ(9月~11月)

羅臼のイカ釣りは他産地が漁を終える秋が最盛期、全国でもトップクラスの漁獲量を誇り、大型のスルメイカが水揚げされます。
スルメイカは刺身、寿司、塩辛、一夜干し、干物など様々な料理でお楽しみいただけます。羅臼で獲れるイカは肉厚なのでぷりぷりサクサクとした食感でかなり食べ応えがあります。
また、イカ釣りの季節になると羅臼の海に日本全国からイカ釣り漁船が集まります。夜通し漁火が灯る様子やイカ釣り漁船の出航風景などが、羅臼の秋の風物詩となっています。


鮭(9月~10月)

令和2年6月に根室管内1市3町(標津町・根室町・別海町・羅臼町)が申請した『「鮭の聖地」の物語~根室海峡一万年の道程~』が日本遺産に認定されました。1万年も昔から続いてきた根室海峡での人々の暮らし、その生活の大きな支えとなったのは毎年繰り返される鮭の遡上でした。壮大なストーリーをもつ鮭の歴史を学ぶと共にその味をお楽しみください。
羅臼では時期により様々な種類の鮭を食べていただけます。5~7月がトキシラズ、8~10月がカラフトマス、9~10月が白鮭の最盛期です。


トキシラズ(5月~7月)

秋鮭よりも早い5月から7月に水揚げされる事から時を知らない鮭、すなわち「トキシラズ」と呼ばれています。時鮭は回遊魚の若い未成熟の鮭。産卵までにまだ時間があり、身に栄養がゆきわたるため、秋鮭に比べると3~4倍脂がのっているといわれています。また、年間を通じて漁獲量が少なく大変貴重です。
トキシラズ定食で焼き鮭、刺身のどちらも同時に楽しんでいただくのがおすすめです。


イクラ

知床半島沖の低水温の海で獲れる秋鮭は脂がたっぷりのっています。その腹から取り出されるイクラなのでコクがあり、深い味わいを感じていただけます。羅臼産のいくらの特徴はその触感と甘みです。ぷちぷちと弾け、自然の甘みが口の中で溶け出し広がります。シンプルにアツアツのご飯の上にかけて贅沢にお召し上がりいただくのがおすすめです。冷凍保存が可能なので郵送でお土産としても大変人気です。


ホッケ(4月~1月)

一年を通し、安定して美味しく食べられるホッケは羅臼の代表的な魚の内の一つです。以前は大量に獲ることが出来、安価に食べられる魚として親しまれていましたが最近では漁獲量が減ったことで価値が上がり、特に羅臼産のホッケはその味や大きさから大変人気でブランド化、別格として扱われるほどです。
羅臼のホッケは肉厚で脂のりが良く、焼くとお醤油をはじいてしまうほどです。一夜干しやホッケスティックなど加工されているものも多くある為、お土産としてお選びいただくことも多い定番人気の魚です。


スケトウダラ(1月~3月)

すり身やかまぼこの原料として使われることが多いタラですが刺身や開き干しでもよく食べられます。漁に手がかかり大勢の助っ人が来ることからその名が付けられたといわれています。羅臼では「スケソ」と呼ばれ親しまれています。刺網の目の大きさがそろっているので漁獲される魚の形が揃うのが羅臼産のスケソウの特徴。
癖がなく骨も硬くないことから煮付けやみそ汁、から揚げなど、様々な料理にお使いいただけます。また羅臼産のスケソウの卵(スケコ)の型は大きく高級品であり、オスの精巣であるタチも鍋などの材料として広く流通しています。


マタラ(4月~5月)

「たらふく食べる」の語源となるほど食いしん坊な魚である鱈。ぷっくり膨れた腹と大きな口が特徴で、クセがないので鍋、から揚げ、昆布締めなど様々な調理法で食べていただけます。地元民に昔から愛される三平汁やちゃんちゃん焼きは羅臼町民の食卓にはなくてはならない存在。また、鱈は良質なたんぱく質を豊富に含み、他の栄養素もバランスよく取る事ができ、脂肪が少ないことからダイエット食としても人気です。白子やたら子も含め日本人に馴染みの深い食材なので好んで召し上がられる方も多いのではないでしょうか。中でもオホーツク海の恵まれた漁場で獲られた羅臼の鱈は格別です。


キンキ(5月~12月)

言わずと知れた高級魚。羅臼では昔から「メンメ」や「メーセン」と呼ばれています。口に入れるととろけるほどの脂乗り、皮の旨みとゼラチン質のぷるんとした食感が特徴です。定番は刺身や一夜干し、また丸ごと煮魚としていただくと頭やヒレの周りの旨みも存分に味わっていただけます。羅臼ならではの湯煮も是非試して頂きたい一品です。
オホーツク沖で獲られるキンキは最も美味しいとも言われ、特に産卵に向け脂肪を蓄える冬のキンキは絶品です。


ボタンエビ(7月~10月)

エビの中でも漁獲量が少なくとても貴重。殻の模様が牡丹に見える、色が牡丹色を連想させるなどの理由から命名されたといわれています。
ぷりぷりとした歯ごたえがありながらも口の中で甘くとろけます。ボタンエビは傷みやすく鮮度が落ちる事による色の変化も早い為、新鮮な状態の内に食べられるのは大変貴重です。
鮮度が高いものは生で刺身として食べていただくと甘みと弾力を存分に感じていただけます。また、しゃぶしゃぶや塩焼き、天ぷらなどにして食べると殻まで食べることができます。


ブドウエビ(7月~10月)

その名の通り、ブドウのような綺麗な紫色をしています。全国的に水揚げ量がとても少ない事から稀少価値が高く「幻のえび」と言われています。
羅臼では生きたまま水揚げする事が出来る「エビ籠漁」という特殊な漁法を行っているため、他の地域では見られないほど鮮度の良いブドウエビを獲る事ができます。鮮度の高さから感じられるコリコリとした食感を味わって頂くには、是非お刺身でお召し上がりいただきたいです。
漁獲量が大変少ない貴重なエビですので、少々お値段は張りますが見かけた際には是非食べていただきたいです。


ガサエビ(7月~10月)

昔から羅臼では庶民の味として親しまれてきたガサエビ。実は2016年に新種として公表された「ダイオウキジンエビ」と同じ種であることが近年発見されました。ガサエビをメインに獲る漁はなく、キンキを獲る深海刺し網漁などで獲られるため流通量が少なく、なかなか町外に出ることのない貴重なエビです。
エビシャコ科の中でも世界最大級なので食べ応え抜群。甘くてホクホクとした食感がたまりません。